和歌ノート

八代集(古今・後撰・拾遺・後拾遺・金葉・詞花・千載・新古今)の注釈メモ

古今和歌集巻第十八

雑歌下 六十八首

雑歌下

933

よみ人しらず

世中は何かつねなるあすかゞは昨日の淵ぞけふは瀬になる

  • 定家八代抄・雑歌上:1519
  • 古今選・雑 ○

934

いくよしもあらじ我みをなぞもかく蜑のかるもに思みだるゝ

  • 定家八代抄・雑歌上:1542
  • 古今選・雑 ○

935

鴈のくる峰の朝霧はれずのみ思つきせぬ世中のうさ

  • 定家八代抄・雑歌中:1594

936

小野たかむらの朝臣

しかりとてそむかれなくにことしあればまづなげかれぬあなう世中

  • 定家八代抄・雑歌上:1547

937

をのゝさだき

都人いかにとゝはゞ山たかみはれぬ雲ゐにわぶとこたへよ

  • 定家八代抄・羇旅歌:792
  • 古今選・雑

938

小野小町

侘ぬれば身を浮草の根をたえてさそふ水あらばいなんとぞ思

  • 定家八代抄・雑歌上:1543
  • 古今選・雑 ○

939

あはれてふ事こそうたて世中を思はなれぬほだし成けれ

  • 定家八代抄・雑歌上:1544
  • 古今選・雑 ○

940

よみ人しらず

あはれてふ言の葉ごとにをく露は昔をこふる涙成けり

  • 定家八代抄・雑歌上:1545

941

世中のうきもつらきもつげなくにまづしる物は涙なりけり

  • 定家八代抄・雑歌上:1546

942

よの中は夢かうつゝかうつゝとも夢ともしらずありてなければ

  • 定家八代抄・哀傷歌:640

943

世中にいづら我身のありてなし哀とやいはんあなうとやいはん

  • 定家八代抄・哀傷歌:641

944

山里は物のさびしき事こそあれ世のうきよりはすみよかりけり

  • 定家八代抄・雑歌下:1701
  • 古今選・雑 ○

945

これたかのみこ

白雲のたえずたなびく峰にだにすめばすみぬるよにこそ有けれ

  • 定家八代抄・雑歌下:1702

946

ふるのいまみち

しりにけんきえてもいとへ世中は浪のさはぎに風ぞしくめる

  • 定家八代抄・雑歌上:1527

947

そせい

いづくにかよをばいとはん心こそ野にも山にもまどふべらなれ

948

よみびとしらず

世中は昔よりやはうかりけん我身ひとつのためになれるか

  • 定家八代抄・雑歌上:1528

949

よの中をいとふ山辺の草木とやあなうの花の色に出にけん

950

みよし野の山のあなたに宿もがな世のうき時のかくれがにせん

  • 定家八代抄・雑歌上:1529

951

世にふればうさこそまされみよしのゝいはの陰道ふみならしてん

952

いかならん岩ほの中にすまばかは世のうき事のきこえこざらん

  • 定家八代抄・雑歌上:1530

953

足曳の山のまに〳〵かくれなんうき世中はあるかひもなし

  • 定家八代抄・雑歌上:1531

954

世中のうけくにあきぬ奥山のこのはにふれる雪やけなまし

  • 定家八代抄・雑歌上:1532

955

ものゝべのよしな

よのうきめ見えぬ山路へいらんには思ふ人こそほだし成けれ

  • 定家八代抄・雑歌上:1533

956

凡河内みつね

よを捨て山にいる人山にてもなをうき時はいづちゆくらん

957

今更に何おひいづらん竹のこのうきふししげき世とはしらずや

  • 定家八代抄・雑歌上:1534

958

よみ人しらず

よにふれば言の葉しげき呉竹のうきふしごとに鶯ぞなく

  • 定家八代抄・雑歌上:1535

959

木にもあらず草にもあらぬ竹のよのはしに我身は成ぬべら也

  • 定家八代抄・雑歌上:1536

960

わが身からうき世中と歎つゝ人のためさへかなしかるらむ

  • 定家八代抄・雑歌上:1537

961

たかむらの朝臣

思きや鄙のわかれにおとろへてあまのなはたきいさりせんとは

  • 定家八代抄・羇旅歌:780

962

在原行平朝臣

わくらばにとふ人あらば須まの浦にもしほたれつゝわぶとこたへよ

  • 定家八代抄・羇旅歌:781
  • 古今選・雑 ○

963

をのゝはるかぜ

あまびこのをとづれじとぞ今は思われか人かと身をたどる世に

964

平さだふん

憂世にはかどさせりともみえなくになどか我身のいでがてにする

  • 定家八代抄・雑歌上:1491

965

ありはてぬ命まつまのほどばかりうきことしげく思はずもがな

  • 定家八代抄・雑歌上:1541

966

みやぢのきよき

つくばねのこのもとごとにたちぞよる春のみ山の陰を恋つゝ

  • 古今選・雑 ○

967

清原ふかやぶ

ひかりなき谷には春もよそなればさきてとくちる物思もなし

  • 定家八代抄・雑歌下:1705

968

伊勢

久方の中におひたるさとなればひかりをのみぞたのむべらなる

969

なりひらの朝臣

今ぞしるくるしき物と人またん里をばかれずとふべかりけり

  • 定家八代抄・雑歌上:1487

970

忘れては夢かとぞ思おもひきや雪ふみ分て君をみんとは

  • 定家八代抄・雑歌上:1515
  • 古今選・雑

971

年をへてすみこしさとをいでゝいなばいとゞ深草野とや成なん

  • 定家八代抄・雑歌下:1699
  • 古今選・雑

972

野とならばうづらとなきて年はへんかりにだにやは君はこざらん

  • 定家八代抄・雑歌下:1700
  • 古今選・雑 ○

973

我を君なにはのうらに有しかばうきめをみつのあまと成にき

974

なにはがたうらむべきまもおもほえずいづこをみつのあまとかはなる

975

今更にとふべき人もおもほえずやへむぐらして門させりてへ

  • 定家八代抄・恋歌三:1134

976

みつね

水の面におふるさ月の浮草のうきことあれやねをたえてこぬ

  • 定家八代抄・雑歌中:1592
  • 古今選・雑 ○

977

身をすてゝゆきやしにけん思ふよりほかなる物は心なりけり

978

君が思ひ雪とつもらばたのまれず春より後はあらじと思へば

979

宗岳大頼

君をのみおもひこしぢの白山はいつかの雪のきゆる時ある

980

きのつらゆき

おもひやるこしの白山しらねども一夜も夢にこえぬよぞなき

981

読人しらず

いざこゝに我世はへなんすがはらやふしみのさとのあれまくもおし

  • 定家八代抄・雑歌下:1642
  • 古今選・雑 ○

982

我庵はみわの山もと恋しくはとぶらひきませ杉たてるかど

  • 定家八代抄・雑歌下:1643
  • 古今選・雑 ○

983

きせん法し

わが庵は都のたつみしかぞすむよをうぢ山と人はいふなり

  • 定家八代抄・雑歌下:1646
  • 古今選・雑 ○

984

よみ人しらず

あれにけり哀いくよの宿なれやすみけん人のをとづれもせぬ

  • 定家八代抄・雑歌下:1697
  • 古今選・雑 ○

985

よしみのむねさだ

侘人の住べき宿と見るなへになげきくはゝる琴のねぞする

  • 定家八代抄・雑歌下:1698

986

二条

人ふるすさとをいとひてこしかどもならの都もうきな成けり

987

よみ人しらず

世中はいづれかさしてわがならんゆきとまるをぞ宿とさだむる

988

逢坂の嵐のかぜはさむけれど行ゑしらねば侘つゝぞぬる

  • 古今選・雑 ○

989

風のうへにありかさだめぬ塵のみは行ゑもしらず成ぬべら也

990

伊勢

あすか川ふちにもあらぬ我宿もせにかはり行物にぞ有ける

  • 古今選・雑 ○

991

きのとものり

故郷は見しごともあらずおのゝえのくちし所ぞ恋しかりける

992

みちのく

あかざりし袖のなかにやいりに剣我たましゐのなき心ちする

  • 定家八代抄・恋歌四:1234

993

ふぢはらのたゞふさ

なよ竹のよながきうへにはつ霜のおきゐて物を思比かな

994

よみ人しらず

風ふけばおきつ白浪たつた山夜半にや君がひとりこゆらん

  • 古今選・雑 ○

995

たがみそぎゆふつけどりか唐衣たつたの山におりはへてなく

  • 定家八代抄・雑歌下:1649

996

わすられん時忍べとぞはまちどり行ゑもしらぬ跡をとゞむる

  • 定家八代抄・雑歌上:1510
  • 古今選・雑

997

文屋ありすゑ

神な月時雨降をけるならのはのなにおふ宮のふるごとぞこれ

  • 定家八代抄・雑歌下:1679

998

大江千里

あしたづのひとりをくれて鳴声は雲の上まできこえつがなん

  • 定家八代抄・雑歌上:1477

999

ふぢはらのかちをん

人しれずおもふ心は春霞たちいでゝ君がめにもみえなん

1000

伊勢

山川のをとにのみきくもゝしきを身をはやながら見るよしもがな

  • 定家八代抄・雑歌上:1478
  • 古今選・雑 ○